どうも! ダンス雑誌記者・丁野です!
突然ですが皆さん、ナチュラルターンはなぜ右回りなのか考えたことはありませんか?
ナチュラルターンに限らず、社交ダンスにおいて「ナチュラル〇〇」という名前のステップはすべて右回り。
でもなんで、右回りが自然なんでしょう?右回りが不自然という人もいるでしょうし……
この謎を解明すべく、偉~い先生にお話を聞きにいって参りました!
相手は偉~い先生とはいえ、私も真実を追求するダンス雑誌記者。「右回りを自然」とすることに納得のいく回答が得られなかった場合、今後アンナチュラルターンと呼ぶことも辞さない構えですよ私は!
お話を伺ったのはこの方、社交ダンス研究の第一人者・花田教授です。
教授、本日はよろしくお願いします!
うむ、こちらこそよろしく!
あの…本題に入る前にちょっとお尋ねしたいのですが……なぜわざわざ本棚の前に?
なんだと!?
「有識者は本棚の前でインタビューを受ける」に決まっておろうが‼
この蔵書の多さが、わしの社交ダンスへの造詣の深さを物語っておるのだ!
そ…それは、たいへん失礼しました。
(でも、めちゃくちゃフリー素材っぽい本棚なんだけどなあ…)
では本題である、インタビューに入りたいと思います。
教授、なぜ「右回り=ナチュラル」なんですか?
うむ、なぜ「右回り=ナチュラル」なのか。
その答えはずばり、わかっておらん!
えぇぇ~~~~!!!???
さっきは「わしの社交ダンスへの造詣の深さ」とか言ってたくせに、結局わかんないのかよ!!!
来て損した~~~!!!
こらこら、結論を急ぐな💦
わかってないとは言ったが、それは確かな証拠がないからだ。
なぜ「右回り=ナチュラル」になったのか、ちゃんと考察された有力な説というものが、あるのだぞ!
あ、これは教授、たいへん失礼しました。
ではその「有力な説」というものをお聞かせください。
う、うむ……
そもそも社交ダンスを踊るとき、男女は半身ズレて、お互いの右半身と右半身が向かい合うように組む。
はい。
相手の真正面には立たずに、自分にとっての左側にズレた位置で組みますね。つまり男女とも、相手が自分の右斜め前にいる状態です。
この組み方をしていると、互いが前進しようとすると、自然と右に回っていくということが起きるのだ。
でも実際に踊ってると、どちらかが前進するとき、相手は後退になりますが……
それも同じ原理である。
少しでも前進する人が、後退する人を追い越すような状況になると、やはり自然と右に回っていってしまうのだ。
つまりこの、お互いに左にズレた組み方で踊るかぎり、右回り=ナチュラルなのである!
なるほど~~~!
でもそうなると今度は、なぜ左にズレて組むのか?という、新たな疑問が湧いてくるのですが……
それについてもちゃんと、有力な説がある。
ずばり「左側に剣を差してたから」説だ!
「左側に剣を差してたから」説?
なんですか、その説は……
うむ。
その昔ダンスが普及し、剣を下げた騎士たちも踊るようになった。彼らの剣が邪魔になってしまうため、それを避けるように、相手の真正面ではなく半身ズレた位置で組むようになった。
騎士たちには右利きの人が多く、剣は抜きやすい左側に装着されたため、剣が邪魔にならない側…すなわち自分にとっての左側に立つことが一般的になった、という説である。
なるほ…ど……??? でも、剣を差したまま踊りますかね?
いまいち説得力がない気もするのですが、これはどういった文献や研究にもとづいた考察なのでしょうか?
ネットに書いてあった。
はあああ~~~???!!! ネットかよ!!!
それなら自分で調べられるし、「ネット情報は信じちゃダメ」って編集長も言ってたぞ!
取材費返せよ~~~!!!
待て待て待て!!!
ネット以外にもちゃんと、書籍などを参考にしておる💦
ただ、どの考察にしても、当時の資料や記録が残ってるわけではない以上、「たぶんこうだったんじゃないか」という推測しかできないのだ。
ちゃんとマジメに調べた結果なんだぞ。
そうでしたか教授、たいへん失礼しました。
ではお話を続けてください。
(コイツちょいちょい、めっちゃ失礼になるな……)
剣以外にも、例えばハンカチーフも左胸に差したりするし、右利きの人にとっては「左側に何かを装着する」方が具合がよかったんだろう。
そうやって自然発生的に、左側に立って踊る人が多くなり、一般的になっていったのだと思われる。
つまり現在の組み方が形成されたのは、右利きの人間が多かったからである、と言うこともできるのだ!
ふむふむ…
結論だけ聞くとミモフタモナイ気もしますが、ちゃんと理由を考えれば納得ですね!
そこでわしは、ある1つの仮説を立ててみた。
それすなわち、
もしも世の中に左利きの方が多かったら?
という思考実験である。
もしも左利きの人に最適化して発展したなら、おそらく社交ダンスは
になったんじゃないか?
という考察なのだ!!!
へえぇ~! なるほど、おもしろい「if」ですね~。
でも推測の域を出ないし、妄想して楽しむしかないですね。
そんなことはない。
実際にわしが踊ってみた。
えええーーー!!!???
「踊ってみた」って……
右側に立って踊ったんですか⁉ そんなことできるんですか?
それどころか、組み方やステップも逆にしたぞ。
右は手の平を握り、左は女性の背中を支える…
つまりは通常と逆のホールドだな。
振り付けも同様に、
足の左右・回転方向のすべてを反対にした、完全逆さまバージョンである。
以下にその動画を貼るから、とくと見るがよい!
僕もちょっとやってみましたが、めっちゃ難しいですねコレ!
さすが教授、おみそれしましたァーーー!!!
(さっきは「取材費返せ」とか言ってたくせに、調子のいいやつだな…)
皆さん、いかがでしたか?
なぜナチュラルターン=右回りなのか?
そしてなぜ左側にズレて組むのか?
確かな証拠や記録はないけれど、こうして考察を聞くと、なるほどと思えるお話でしたね!
このインタビュー、実はこれで終わりではありません。なんと第2回「リバースターンについて」に続きます。
次回は9月4日(金)公開予定、お楽しみに!
冒頭のマンガ『ボールルームへようこそ』コマ画像は、著作権者の許可を得ているコマ投稿サービス、『アル | マンガの新刊・無料情報メディア』のツールを使用し投稿しています。
また「ダンス雑誌記者・丁野です!」というセリフについては、作者である竹内友さんと講談社の許可を得て掲載しています。
参考書籍:私がほしかったダンス用語集 金子昭(著)
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どうも! ダンス雑誌記者・丁野です!
突然ですが皆さん、ナチュラルターンはなぜ右回りなのか考えたことはありませんか?
ナチュラルターンに限らず、社交ダンスにおいて「ナチュラル〇〇」という名前のステップはすべて右回り。
でもなんで、右回りが自然なんでしょう?右回りが不自然という人もいるでしょうし……
この謎を解明すべく、偉~い先生にお話を聞きにいって参りました!
相手は偉~い先生とはいえ、私も真実を追求するダンス雑誌記者。「右回りを自然」とすることに納得のいく回答が得られなかった場合、今後アンナチュラルターンと呼ぶことも辞さない構えですよ私は!
お話を伺ったのはこの方、社交ダンス研究の第一人者・花田教授です。
教授、本日はよろしくお願いします!
うむ、こちらこそよろしく!
あの…本題に入る前にちょっとお尋ねしたいのですが……なぜわざわざ本棚の前に?
なんだと!?
「有識者は本棚の前でインタビューを受ける」に決まっておろうが‼
この蔵書の多さが、わしの社交ダンスへの造詣の深さを物語っておるのだ!
そ…それは、たいへん失礼しました。
(でも、めちゃくちゃフリー素材っぽい本棚なんだけどなあ…)
では本題である、インタビューに入りたいと思います。
教授、なぜ「右回り=ナチュラル」なんですか?
うむ、なぜ「右回り=ナチュラル」なのか。
その答えはずばり、わかっておらん!
えぇぇ~~~~!!!???
さっきは「わしの社交ダンスへの造詣の深さ」とか言ってたくせに、結局わかんないのかよ!!!
来て損した~~~!!!
こらこら、結論を急ぐな💦
わかってないとは言ったが、それは確かな証拠がないからだ。
なぜ「右回り=ナチュラル」になったのか、ちゃんと考察された有力な説というものが、あるのだぞ!
あ、これは教授、たいへん失礼しました。
ではその「有力な説」というものをお聞かせください。
う、うむ……
そもそも社交ダンスを踊るとき、男女は半身ズレて、お互いの右半身と右半身が向かい合うように組む。
はい。
相手の真正面には立たずに、自分にとっての左側にズレた位置で組みますね。つまり男女とも、相手が自分の右斜め前にいる状態です。
この組み方をしていると、互いが前進しようとすると、自然と右に回っていくということが起きるのだ。
でも実際に踊ってると、どちらかが前進するとき、相手は後退になりますが……
それも同じ原理である。
少しでも前進する人が、後退する人を追い越すような状況になると、やはり自然と右に回っていってしまうのだ。
つまりこの、お互いに左にズレた組み方で踊るかぎり、右回り=ナチュラルなのである!
なるほど~~~!
でもそうなると今度は、なぜ左にズレて組むのか?という、新たな疑問が湧いてくるのですが……
それについてもちゃんと、有力な説がある。
ずばり「左側に剣を差してたから」説だ!
「左側に剣を差してたから」説?
なんですか、その説は……
うむ。
その昔ダンスが普及し、剣を下げた騎士たちも踊るようになった。彼らの剣が邪魔になってしまうため、それを避けるように、相手の真正面ではなく半身ズレた位置で組むようになった。
騎士たちには右利きの人が多く、剣は抜きやすい左側に装着されたため、剣が邪魔にならない側…すなわち自分にとっての左側に立つことが一般的になった、という説である。
なるほ…ど……??? でも、剣を差したまま踊りますかね?
いまいち説得力がない気もするのですが、これはどういった文献や研究にもとづいた考察なのでしょうか?
ネットに書いてあった。
はあああ~~~???!!! ネットかよ!!!
それなら自分で調べられるし、「ネット情報は信じちゃダメ」って編集長も言ってたぞ!
取材費返せよ~~~!!!
待て待て待て!!!
ネット以外にもちゃんと、書籍などを参考にしておる💦
ただ、どの考察にしても、当時の資料や記録が残ってるわけではない以上、「たぶんこうだったんじゃないか」という推測しかできないのだ。
ちゃんとマジメに調べた結果なんだぞ。
そうでしたか教授、たいへん失礼しました。
ではお話を続けてください。
(コイツちょいちょい、めっちゃ失礼になるな……)
剣以外にも、例えばハンカチーフも左胸に差したりするし、右利きの人にとっては「左側に何かを装着する」方が具合がよかったんだろう。
そうやって自然発生的に、左側に立って踊る人が多くなり、一般的になっていったのだと思われる。
つまり現在の組み方が形成されたのは、右利きの人間が多かったからである、と言うこともできるのだ!
ふむふむ…
結論だけ聞くとミモフタモナイ気もしますが、ちゃんと理由を考えれば納得ですね!
そこでわしは、ある1つの仮説を立ててみた。
それすなわち、
もしも世の中に左利きの方が多かったら?
という思考実験である。
もしも左利きの人に最適化して発展したなら、おそらく社交ダンスは
になったんじゃないか?
という考察なのだ!!!
へえぇ~! なるほど、おもしろい「if」ですね~。
でも推測の域を出ないし、妄想して楽しむしかないですね。
そんなことはない。
実際にわしが踊ってみた。
えええーーー!!!???
「踊ってみた」って……
右側に立って踊ったんですか⁉ そんなことできるんですか?
それどころか、組み方やステップも逆にしたぞ。
右は手の平を握り、左は女性の背中を支える…
つまりは通常と逆のホールドだな。
振り付けも同様に、
足の左右・回転方向のすべてを反対にした、完全逆さまバージョンである。
以下にその動画を貼るから、とくと見るがよい!
僕もちょっとやってみましたが、めっちゃ難しいですねコレ!
さすが教授、おみそれしましたァーーー!!!
(さっきは「取材費返せ」とか言ってたくせに、調子のいいやつだな…)
皆さん、いかがでしたか?
なぜナチュラルターン=右回りなのか?
そしてなぜ左側にズレて組むのか?
確かな証拠や記録はないけれど、こうして考察を聞くと、なるほどと思えるお話でしたね!
このインタビュー、実はこれで終わりではありません。なんと第2回「リバースターンについて」に続きます。
次回は9月4日(金)公開予定、お楽しみに!
冒頭のマンガ『ボールルームへようこそ』コマ画像は、著作権者の許可を得ているコマ投稿サービス、『アル | マンガの新刊・無料情報メディア』のツールを使用し投稿しています。
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